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大阪大学知能システム学コース 編入体験記

はじめにIntroduction


  このページでは高専→大学編入学について記述します
 H31年度(2019年度)大阪大学基礎工学部知能システム学コースの3年次編入学試験についての体験記です。
 私は4年次までほとんど勉強していませんでした。
 大阪大学受験までに勉強していた勉強時間はおよそ700時間です
 

大阪大の編入試験exam abstract


大阪大は、基礎工学部全体に対して、若干名の募集をしていますが、実際のところ例年は25名程度の合格者がでており、受験者はH31で100名程度です。
推薦入試(特別入試)はありません。

 

また、よく間違えられる学部として、大阪大学の工学部があります。これは基礎工学部とほとんど内容はわからない学科で、併願も可能ですが私は受験していません



志望動機reasons for application

私が大阪大を志望した理由は「3年次編入可能でロボット系の研究室がある、ハイレベルな大学だったため」です。
もう少し分解して考えると、
3年時編入可能→東大・京大以外
ロボット系の研究室がある→大阪大、東工大、岡山大学など僅かな大学
ハイレベルな大学→東大・京大・東工大・阪大
となり、必然的に大阪大を第ニ志望に受験することにしました。
(第一志望は東京工業大学です)


あと、大阪大に興味をもったとき大阪大へ編入した先輩たち2人をフォローしたところ、
たいしさん、あらいさんの両方が情報を趣味としても扱っており、大阪大生は趣味にも工学をもっているのだと感じたことも志望動機の一つです、


試験科目subject


大阪大の試験科目は
・英語
・数学
・物理
・専門
の4つに加えて面接があります。
面接のウェイトはおそらく高めであり、調査書も加味されるようです

ボーダーは例年65%の得点率と言われています


英語

大阪大の英語は一般的な難易度で、和文英訳・長文・英文和訳の3つから構成されていましたが、
H31はこれに加えて80wordsの自由英作文が出題されました。

7割程度を狙っていきたいところです。

数学

大阪大の数学は難しく、主に微積1題、行列1題、確率1題が出題されます。
難易度は高いですが、6割程度は得点したいところです。

大問は3題構成となっており、試験時間は120分あるため時間としてはやや余裕をもって解答できますが、
解答用紙が各大問でB3用紙1枚と非常に少ないため、省スペースで書く訓練が必要になります。

部分点はほとんどもらえず、25点-8点-0点の3段階で評価されているという噂です。

物理

大阪大の物理は一般的な難易度です。知能システム学コースを受験する場合、「力学」「電磁気学」「熱力学」から2つ選択して解答するシステムを採用しています。
私は「力学」「電磁気学」を選択しましたが、理想は3つのどれでも解けるようにしておいて当日の問題を見て科目を決めることです。

8割程度を狙っていくと良いと思います。

専門

大阪大の知能システム学コースは選択科目が「コンピュータのハードとソフトの基礎」「制御工学」「電子回路」の3つで、そのうち2つを選択して解答します。

◆コンピュータのハードとソフトの基礎:Cプログラマのためのアルゴリズム入門、図解コンピュータ概論(ハードウェア)、基本情報技術者試験から出題
◆制御工学:フィードバック制御入門から出題
◇電子回路:不明

出題と書いた参考書は、阪大のシラバスからコンピュータ工学やコンピュータ基礎などの科目を調べ、そのシラバスを確認することで見つけることが出来ます。
採点基準や点数は明らかになっていませんが、採点基準は緩めで点数は他の科目よりウェイト高めに思われます

私は9割を目標にしていました。

勉強方法way to study

数学(210時間)

勉強内容
10-5 「過去問徹底特訓」を使った演習(2周+ミスした問題をさらに2周)
6-7 過去問徹底特訓」を使った演習
「細野真宏の確率が本当によくわかる本」を総合演習10まで
「微分積分徹底研究」の苦手な部分を演習
大阪大学の過去問(10年分)

この勉強は第一志望が数学の簡単な東京工業大学であったため、あまり数学に力を入れなかったこともありかなり少ないです。
他の阪大受験者は比較にならないほど数学を勉強していました


物理(80時間)

4年の3月から始めました。
数学をある程度やってからのほうが良いと聞いていたのでここまで遅らせたのですが、
数学をやってからにしたのは正解だったと思います。
参考書の演習をして、わからなかったところはネットで調べたり電磁気学に限っては先生に聞きに行ったりしました。

勉強内容
3 「基礎物理学演習Ⅰ」を使った演習
「物理のエッセンスⅠ」を利用した理解・演習
4 「物理のエッセンスⅠ、Ⅱ」を利用した理解・演習
5 「電磁気学演習」を利用した演習
6 「演習力学」「電磁気学演習」を利用した演習
7 阪大の過去問(10年分)

物理の勉強ははじめから力学と電磁気学を解くと決めていました。
また、稀にマクスウェル方程式が出題されていましたが勉強せず、万一マクスウェル方程式が出題されて解けなければ、もっている知識だけで熱力学を解こうと決めていました。

専門(50時間)

5年の4月から始めました。
専門科目は、自分の趣味がプログラミングであることと試験問題がそれほど難しくないために短い勉強時間でも高得点を取れるだろうと予想していました。
最初から専門科目で点数をリードするつもりで受験し、事実専門科目でリードできたと思います。
科目はコンピュータと制御工学を選び、電子回路には一切触れませんでした。

基本的には過去問と、ここにはかけないある教材(著作権的な意味で)を利用して勉強しました
過去問の解答は事前に先輩からもらっていたため、それを利用して勉強しましたが、それでもなおわからない問題は飛ばしました

コンピュータについてはCプログラマのためのアルゴリズム入門と図解コンピュータ概論(ハードウェア)を読み込んで知識をインプットしました
制御工学については慶応大学の提供する公開講義とフィードバック制御入門でインプットしました。慶応大学の講義は1.5倍速で見てました。

勉強内容
4 過去問で傾向を分析した程度
5 「Cプログラマのための…」をしっかり理解し、「フィードバック制御入門」「自動制御」を1周ずつ読みました
6 「Cプログラマのための…」をさらに理解し、「図解コンピュータ概論(ハードウェア)」も理解しました。過去問もかなり参照しました
7 大阪大の過去問(10年分)を解きました。

阪大の専門はかなりの得点源です。8割くらいは狙っていきたいところです。

英語(250時間)

英語は初め、筑波大学を志望していたためにTOEICの勉強をしていました。
その後志望校を東工大に変更し、長文や単語についてはそれから勉強を始めました。

勉強内容
10 TOEICの勉強
11 「速読英単語必修編」を使った演習
12 「速読英単語必修編」を使った演習
1 「Forest」を使った理解・演習
TOEICの勉強
2 TOEICの勉強
3-5 「Duo3.0」を使った単語暗記
「Forest」「速読英単語上級編」「ポレポレ英文読解プロセス」を使った演習
6-7 「Duo3.0」を使った単語暗記
「速読英単語上級編」「ポレポレ英文読解プロセス」を使った演習 「ドラゴンイングリッシュ」を使った英作対策 大阪大学の過去問

阪大の対策は長文読解、和文英訳・英文和訳の2つを重点的に勉強すると良いと思います。
ただし、H31では80wordsでの自由英作文が出題されたため、今後は自由英作文の対策も必要です。
長文読解の対策には速単必修編、速単上級編、速読英熟語を
和文英訳・英文和訳は過去問とドラゴンイングリッシュで対策しました。

阪大の英語は東工大と比較して簡単で、やや類似している部分もあったので基本的に東工大対策をして足りない部分の阪大対策もする感じでした。

編入試験当日exceperience

試験前日

前日は16時頃に東横イン大阪伊丹空港に着き、受験会場の場所を下見しました。その際、志望していた研究室の前に貼っていた研究のポスターを撮影しておきました。
東横インは全国でレイアウトが同じで安定なので、このホテルを強くおすすめします。
夕食は牛丼を食べました(編入の前日は毎回牛丼を食べています)
また、23時頃寝ました

試験一日目

6時30分に起き、朝に簡単な数学・物理・英語の見直しをした後試験開始40分前に会場に着きました
受験者は120人で、知能システム学コースは13人でした。
服装はほとんど全員が私服でした

・英語
傾向が変わって自由英作文がでましたが、代わりに和文英訳・英文和訳・長文が非常に易化していました。長文に関しては英語が得意な中学生でも解けるんじゃないかってくらいでした。
予想得点は9割

・数学
傾向が変わって全体的に易化していました。特に確率は簡単になっており、答えがa,1-a,a/(1-a)みたいな感じの本当に簡単な問題でした
予想得点は7割

・昼休み
同じ学校の友達と一緒にいました。数学は周りもかなり解けていた様子でした。

・物理/専門
力学は動滑車と定滑車を組み合わせた問題、例年通りの難易度でしたが単純ミスをしたので7割くらいだと思います。
電磁気学は基礎的な電場・電位の問題。これも簡単でしたが静電エネルギーの導出を忘れていたので7割
熱力学はピストンで押し出す問題でしたが解いてません

コンピュータは傾向が変わってスタックを積む問題と、例年通りの自販機を順序回路で実装する問題が出題されました。
前者は中置記法を間違えた上、スタックの問題で出力は一致するが問題の意図を無視した解答をしてしまいました。
制御工学は例年通りの極と零点を求めてボード線図やナイキストで安定判別する問題でしたが、ボード線図とナイキストの安定判別を間違えてしまいました。

予想は物理が7割、専門が5割
専門は8割くらいとって得点源にしたかったのですが出来ませんでした…

・ 試験後
友達と話して帰りました。
1日目の予想は
英語→9割
数学→7割
物理→7割
専門→5割
です。
ホテルに戻ってからは、面接で試験の出来・間違えた問題について聞かれるということだったので、全ての問題の解答例を作成しました。あとは面接練習として志望研究室の論文とポスター(英語)を読んでました
(試験前日の下見で研究室前のポスターを撮影していた)

試験二日目

・ 面接
面接は8~12分で前の人たちは入っていったが私だけ15分かかった。
また、雰囲気は非常に和やかであったが、他の受験者によると面接は非常に厳しかったという(その人は落ちた)ので、おそらく合格点に満たない人には厳しい面接をしていると思われる。
また、面接はおそらく点数として加点される。根拠は、面接官5人が全員ボールペンをもって評価シート?にかなりの量を記入しているためである。
面接官は5人
   A
B     E
C     D

   私

以下、面接で聞かれた内容(特に記述がない限り質問者はA)
・志望動機→研究室・カリキュラム・学生のレベルの高さ
・学生のレベルの高さの根拠→過去に編入した先輩が優秀、文化祭のオープンラボで実際に話した
・あなたが他のクラスメイトと比較して優れている点は何ですか?→機械系の能力の高さとプログラミング能力の高さ。前者は近畿地区合同ロボットコンテストで優勝する成績を、後者は6位/16000ソフトウェアの成果を残した
(面接官はロボコンにほとんど反応しなかった)
・具体的にどのようなソフトウェアを制作しましたか?→人狼ゲームを改良したワードウルフというゲームで、司会を円滑に代行するオンラインソフトウェアです
・阪大の受験勉強はしましたか?したならどこにウェイトを置きましたか?→受験勉強は数学に重点をおいて勉強しました
・専門ではコンピュータと制御工学を選択していますが、最初からそう決めていたのですか?→はい
・試験の出来を予想してください→数学9割、英語7割、物理と専門がそれぞれ6~7割り程度だと思います
・英語はどの程度勉強されましたか?→長文はかなり勉強しましたが、今年新たに出題された自由英作文は全く対策していませんでした
C・制御工学について、ナイキストについて習いましたか?→…そうですね…ナイキストの安定判別そのものについては学習しましたが、そこからKの範囲を定めるところまでは学習していません
C・ボード線図については?→やりましたが単純ミスをしていまい、試験終了直前に気がついたものの修正が間に合いませんでした
D・卒論ははじめましたか?→はい。私の研究内容は~
D・進捗はどうですか?→設計内容を確立させ、CADでモデル作成しましたが問題点が見つかって修正中です
・CADというのは機械系の?→はい。機械系のCADです
・最も得意とすることはロボット製作であると聞きましたが、2番目は何ですか?→プログラミングです
B・自作ソフトウェアで6位/16000ソフトウェアと言っていましたが、どういった算出方法ですか?→利用回数です
・合否と関係ないのですが、他大学のロボット系研究室は検討しましたか?→はい。検討しましたが制御のレベルの高さから大阪大学が一番という結論に至りました(機械系・第二志望研究室も考慮すると東工大だけど)
・大阪大学卒業後の進路はなにか考えていますか?→大学院修士課程に進学して就職しようと思っています
・就職はロボット関係ですか?→はい。産業用ロボットの開発に携わりたいと考えております
・どんなロボットが作りたいですか?→(人工筋肉を使ったロボットで)高速かつ強度のあるものを開発したいです
・面接は以上です。

試験を終えてafter exam

合格者は合計25人、知能システム学コースでは3人が合格でした。

私は試験の出来で不合格だと思っていたのですが合格していたこと、一緒に受けたクラスメイトの1人は落ちたことから合格したのに嬉しいのかわからない状態に少しの間なってましたが、なんとか復帰ました。

後輩に伝えることがあるとすると、コンスタントに勉強し続けることです。
多くの方はリフレッシュやメリハリを提示すると思いますが、私が考えているのは毎日決めた時間は必ず勉強するという生活スタイルです。

私は編入の勉強において、生活スタイルを何回も変えたことにより概日リズム睡眠障害になったり、
睡眠時間が7時間必要だったのに12時間必要になる時期があったりと様々な体調不良を引き起こしました。

そこで提案するのは、編入の勉強は初期に生活スタイルを確立させ、そのリズムで行動することです。
もちろん休憩としてカラオケに行ったり旅行に行ったりはありだと思います。
しかし、それらは本当に必要なときにとどめたり、散歩のように毎日の生活に取り入れることが大切だと思います。

勉強方法については、私は過去問を多く取り入れるべきだと考えます。多くの受験生は過去問よりも参考書の利用や演習書の利用にウェイトを置き、過去問は数年分しか解きません。しかし、真に大切なのは過去問を解くことです。
編入試験で過去問の解答はないわけですが、先生に解答例を制作してもらったり、先輩からもらったり、同級生と相互採点したりと戦略は無数にあります。そのため、過去問を軸とした勉強を行うことは可能です。

ぜひ、過去問を軸とした勉強をがんばってください

<おまけ>
阪大の受験では直線が必要な問題が時々出題される。しかし定規不可なので、私は三角鉛筆を購入して定規として使っていた


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